台湾映画《看見台灣》に観る自分で見られないものを見るということ。

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12 月 18 日に、都内で台湾のドキュメンタリー映画『天空からの招待状』の上映会が開かれるという(詳細はコチラ)。この作品は、原題を「看見台灣」といい、2013 年に台湾映画アワードでドキュメンタリー部門の受賞作となったもの。せっかくなので、たくさんの方々に見ていただきたいなあと、誰に頼まれたわけではないけれど記事を書くことにした。

本作は、台湾では 2013 年、日本では翌 2014 年 12 月に劇場公開され、後にどちらも DVD が発売されている。わたしは台湾の劇場で中国語字幕バージョンを、つい最近、日本語版の DVD を手に入れて観た。大きな画面なら迫力あふれる映像を、DVD なら映像特典も見逃さずにぜひ!と念を押したい 1 本だ。

 

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本作に収められているのは、空中から撮影された台湾の姿だ。映像は台湾の山々の雄大な(個人的には惚れ惚れとする)姿から始まる。一般にはあまり知られていないが、台湾には標高 3,000m を超える山が 100 座以上ある(ちなみに日本には 21 座。台湾の国土は日本の 6 分の 1 だということを考えると違いが少し伝わるだろうか)。その最高峰となる玉山をはじめとした豊かな自然と地形に恵まれた島を、縦横無尽に行き来する映像を観ていたら、なんだか自分まで鳥になったよう。

だが、鳥の目線はいいことばかりでもないのかもしれない。監督を務めた齊柏林(チー・ポーリン)は、20 年というキャリアを持つ航空カメラマン。台湾の空をいちばんよく知る人物だ。彼が空から撮影した台湾は、美しいだけではなかった。飛び込んできたのは、原初の風景と都市化していく台湾の姿だった。

ところで、台湾は環境保護に積極的なんだと思い込んでいた。というのも、台湾の中国語学習者にはおなじみの教科書『新版 實用視聽華語』第 4 巻で「救救我們的地球吧」、地球を救おう、と題してゴミの分別、資源回収、地球温暖化が扱われていたから。旧版の刊行は 1999 年で、2008 年に新版となった。旧版は未確認だが、要するに、語学のテキストでさえ環境保護を取り上げられるなら況や他をや、と。

それに、台湾の暮らしで分別によるゴミ捨ては大切な日常のひとコマだ。回収車にゴミを出す際には、生ゴミ、紙ゴミ、プラスチックなどしっかり分別しなければならないし、街中にあるゴミ箱だって資源ゴミと一般ゴミに分かれている。

作品を通じて、普段は見ることのできない世界を見ることができた喜びを感じる一方で、突きつけられるのは、翻れば日本も抱える都市化という現実だ。本作では、単に現状を断罪する短絡的な終わりではなく、観る人にさらに一歩、考えさせるところまで踏み込んでいる。

そうそう、音楽のことも忘れてはいけない。映画『セデック・バレ』(原題:賽德克・巴莱、公式サイトはコチラ)の主役だった林慶台(リン・チンタイ)が歌うしゃがれた声が映し出される画になんともマッチしていた。本作の音楽を指揮した何國杰(リッキー・ホー)が「でも、なんて歌ってるのかはわからないんだけどね」と笑っていたけれど。

世界は美しい面もあるけれど、そうでない一面もある。普段は見る機会さえない姿を伝える本作は、台湾の今だけでなく、世界の今が詰まった作品だった。たくさんの人の目に触れることを願う。

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