台湾版BIG ISSUEのデザインが素敵

DSC_0169
デザインの力は人を動かす威力を持っている。デザインによって商品の売れ行きが変わるのは、考え抜かれたデザインには手に取る人をちゃんと見定める力が備わっているんじゃないかと思う。

台湾の工業デザインというかプロダクトデザインは、残念に思うことがある。たとえばイス、座るものつながりでトイレの便座。留学生だった時期は、授業が終わるとよくカフェに行った。宿題一つで何時間もかかるので、イスの座り心地はカフェ選びにはとても大きな条件だった。いろんなカフェに行って確かめたが、長時間座ることができるイスを用意しているカフェは、非常に少なかった。トイレの便座はまったく話にならない。桶の部分と便座がズレていることが見て取れるものもあれば、座るとそのまま落ちそうに感じることがある。体格がそうそう違うとは思えないので、これはもう、お尻感覚が違うんだと思うことにしている。

ちょっと変な話から入ったけれど、台湾のデザインの力のことを、実はすごいと思っている。それも二次元でのデザイン。まず驚いたのは本のデザインだった。

日本で雑誌を編集していた頃、ページのデザインをどうするかは、格闘したテーマの一つだ。見出し、リード、キャプション、写真の位置など、どこに何を置くかで読み手の受け取り方が変わる。読みやすい、読みづらいという感覚値をどう引き上げるか、幾度となく考えていた。仕事仲間とよく言っていたのは「漢字が多い原稿ってデザインも難しいね」ということ。

台湾の書店でいろんな本を見て、そのときに思っていたことを覆された。漢字ばかりなのにカッコいい。ひらがながない、カタカナもない、漢字だけのデザインのカッコよさに、頭がくらくらした。余白の使い方、書体、バランス、どれも長いこと、漢字と付き合ってきた結果としてデザインされている。当たり前だけど。その表記をもつ文化にはその表記との付き合い方があるのだ、と改めて思わされた。

8 月に日本へ一時帰国して、偶然見かけた『THE BIG ISSUE』を買った。(あれ?)と思ったのは誌面のデザインだ。正直、ちょっと読みづらく感じてしまった。台湾版『THE BIG ISSUE』は、むしろ見ていて(わあ!)と思う。罫線 1 本、シロの配置、とても洗練されている。判型も A4 変型で、紙質もマット、著者は世界のあちこちで活躍するライターさんが書いていて、台湾の広がりを感じさせる。ページ数は 80。なかなかのボリュームだ。それでいて 100 元(約 300 円)。唸る。

『THE BIG ISSUE』だけではない。台湾の本のデザインは実にバラエティに富んでいる。判型、紙、色、印刷加工と、ちょっと角度が違う。彩り豊かで大きさまちまち。日本では、編集者の作ろうとした本の規格が書店の棚に合わないからと営業にいわれて変更されることがある。棚のサイズは変えられない。でもそれは台湾だって日本だって同じことだ。台湾の書店で、棚に横置きされている本を見かけるけれど、それはそれで自由に作れていいなあとちょっと羨ましくなった。

読み手に窮屈さを感じさせないように、デザインする。その苦労は、どこも同じだろう。台湾で『THE BIG ISSUE』を見かけたら、ぜひその威力を感じてほしい。

Post Navigation