台湾留学のインフラ整備

jiniantang超短期留学の後しばらくして、会社を辞めた。長期留学をしてみたい、と思ったからだった。実際、しばらくして「とりあえず 1 年」と周囲には言って、長期留学を決めて、台湾に渡った。これからしばらく、この長期留学の際にまとめた記録を紹介していく。

のっけからシビアな話で始めるのはナンだけれど、留学にあたって最大の問題になるのは、やはりカネだと思っていた。社会人からの留学は、それまでの収入がゼロになり、赤字生活に転じるからだ。真っ先に考えたのは奨学金。ただし、日本の大学生たちが受給している要返済の奨学金はいわばテイのいい低金利ローンでしかない。というのも、わたしが大学を卒業して10年以上経ってなお、同世代でまだ返済している人の存在を知った時、ぞっとした。留学がいつまでになるのか、その後の就業がいつになるか、未来のことなんて約束できやしない。だからこそ、返済無用の奨学金をもらうしかないと考えた。もちろん大博打は打てないので、奨学金がもらえなくてもそこそこにはやっていけるだけの貯金と覚悟はあったけれど。

そこで、台湾政府の奨学金を申請した。台湾政府の奨学金は、有り難いことに語学留学生に対しても枠がある。試験はなく、必要な書類を揃えるだけでよかったから、とにかく出すだけ出してみたら運よくいただけることになった。奨学金についての詳細や募集要項はこちら

出発直前、奨学金生に対する説明会が開催された。わたしと同じ語学留学生だけでなく、学部や大学院への留学生もあわせて30人ほどが会場にいた。説明の大半は中国語で行われたものだから、実は聞きながら冷や汗を流していた。その上、ドッヒャーと思ったのは「タダほど高いものはない」ってことだ。テストで80点以上取らないと、翌月の奨学金が支給されないという1文を目にした時は、ダチョウ倶楽部ばりに(聞いてないよ〜)と大声で叫びたい気分だった(ふるっ)。

ともあれ、受給によって赤字の金額が抑えられたことは確かだ。奨学金は学校指定の郵便局口座に振り込まれる。会社の出張費などと違って、領収書などの提出は指示されなかったので、もらったお金を学費に充当するもよし、別で使うもよし、好きに使える。金額は毎月25,000 元。支給期間は、人によって 3か月、半年、9か月、1年とが異なる。ちなみにわたしは 1年支給だ。わたしが通った台湾大学語文中心の学費が 3か月で35,000 元なので、家賃やその他の生活費を考えたら、悪くないけれど決して贅沢はできない絶妙なる設定金額だ。留学生という名の、無職かつ赤字暮らしの人間には実にありがたい。謝謝台湾!

次に生活インフラとして不可欠なのは、住居だ。当たり前のことだけれど、何かと住所の記載は欠かせない。加えて、台湾ではいわゆる大学付属の留学生寮がない。台北市内には国際学舎という留学生向けの共同宿舎はあるけれど、たいてい短期間で出ていくという。ただし、市内の不動産はファミリータイプの物件が多く、一人暮らしの住宅を探すのは楽ではないらしい。学生の間ではシェアも多いとか。

わたしは台湾人の一般家庭にお世話になることにした。つまり、暮らすためのインフラの大半がすでにある。食事はすべて別だが、事前交渉で光熱費も家賃に含めてもらった。それだけではない。大きな利点は、すぐに尋ねられるということ。携帯電話会社はどこが安いか、銀行はどこが便利か、郵便局の口座開設に印鑑は必要か、近所にあるおいしい店はどこか……暮らすための知恵と経験を持っている人たちがそばにいるのは心強い。また、台北在住の友人や留学仲間、日本で紹介された人など、先行した人的ネットワークがある。家が設備的インフラなら、ステイ先の家族や友人たちは人的インフラと言い換えてもいいかも。すべてにおいて慣れない異国で、わたしのことを知る人がいるってだけでこんなに安心かと痛感している。謝謝大家!

もう一つ、着いてみてわかったインフラがある。普段の生活スキルだ。これは、食事、掃除、洗濯、片付けなどの家事スキルだけを意味するのではない。朝起きる時間、夜寝る時間などの生活習慣(あるいは体調管理)、また金銭管理、危機管理なども含まれる。このスキルは、目に見えないが、いわば生きるためのインフラだ。生活環境がまるごと変わる異文化経験で、真っ先に整えておきたいのは体調だ。体調が悪いと、考えることも負のループにハマりかねない。だが、その意味ではわたしは日本の生活でかなり鍛えられてきたし、このインフラの有無は国とは関係ない。いわば親からの教育だ。謝謝家人!

加えて台湾に関する本や映像を観ていたことも、考えていたよりずっとよく効いた。日常のあいさつ、買い物風景、ゴミ出しの様子、いろんな言語を使い分けるシーンなど、(あ、あのドラマに出てきたな)などと思い出す引き出しがある。数度の下見も、MRTや方向感覚など地理的な土地勘もインフラといっていいかも。これらのインフラは、一過性の旅行ではなく「生活する」という点から考えると欠かせない。ドラマや映画を教えてくれた同僚や、歴史を学べとアドバイスをくれた友人に感謝だ。謝謝同事們和朋友! 考えてみたら、来日する留学生ってこれら全部を一気にこなしてるんだよね。謝謝世界的朋友們!

ところで、台北に到着した翌日、わたしよりずっと前に留学している留学仲間から「なんかさ、半年以上いるって言ってもいいくらい落ち着いてるね」と言われた。……まあ、そりゃ伊達に長く生きてないってことだわなー。哈哈。

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