紙編集とサイト運営の違い

sky会社員生活 16 年半のうち、半分は雑誌、半分は書籍を担当していた。ざっくり言って雑誌の頃は月に 30 ページほどを担当し、半分は執筆者のいる原稿だったが、残りの半分は自分で書いていた。その書きまくった経験が現在の原稿を書く基礎体力になった。会社を辞めるとき、雑誌書籍問わず自分が担当した本の数を数えたら 100 冊を超えていたが、その経験は「まず構成から考える」というクセになった。初めて WEB サイト制作にかかわったのは、その会社に入社してすぐだから 1997〜98 年あたり。そのときに HTML 構造の基本を学んだ。

台湾に来てからいただいたお仕事は日本からの依頼で、ほとんどが原稿執筆。紙のやり取りがいまだ多い編集の仕事を海外で引き受けるのは難しい。かかわってきた多くは紙媒体で、用紙を使った内容確認が必要だった。それは会社を離れる頃も変わらなかった。原稿はデータでやり取りしていたけれど、画面上では見逃しが多いため、紙のほうが安全だった。

いつだったか仕事仲間と話したことがある。それは、ライター、編集者、校正者のうち、どれがいちばん効率がいいかということ。その時は、

  校正者 > 編集者 > ライター

という結論になった。どれもそれなりに時間のかかる作業ばかりだし、ライターが編集を兼ねたり、校正が結局編集的なことを指摘したりもするから、一概にはいえない。それぞれの業務項目を、ざっと洗い出してみよう。

  ライター : 下調べ、取材、音声の文字起こし、原稿執筆
編集者  : 企画立案、スタッフコーディネート、企画取りまとめ
校正者  : 原稿読み、表記統一

ある大先輩がおっしゃっていたのは、「向き不向きってのがあるんだよ」ってことだ。確かに、そう。わたしはライターと編集者の度合いが強い。どれもが万遍なくできる、っていう人はあんまりいなかった(自分調べ)。

いろいろなサイトを見ていて残念だと思うのは、校正作業がないがしろにされている、ということ。誤字脱字、誤植、表記ルールの不統一……内容はいいのだけれど、その内容を支える文字で台無しにしている。紙媒体で培われてきたノウハウを、もっと利用できればいいのに。

さて、WEB サイト運営に求められるスキルだが、自分なりの理解をまとめてみよう。

 サイト運営に必要なスキル

1)企画立案
2)記事執筆
3)サイトデザイン
4)サイト構築
5)集客、SNS連携
6)広告
7)アクセス解析

たとえば WEB ディレクターという仕事があって、その説明を聞いていたら、編集じゃん、という内容だった(動画はこちら。わかりやすいので興味があればぜひ)。で、動画を見ながら思ったのは、紙媒体でいうライター、編集、校正、といった役割を表す用語が安定していないんだろうなってこと(社内で決まってる、というのは別の話。業界全体で、ということ)。

改めて、紙媒体で用いられている役割語を、例として個人のサイト運営で相当すると思われる業務スキルに当てはめてみた。

 1)企画立案    → 編集者
2)記事執筆    → ライター
3)サイトデザイン → デザイナー
4)サイト構築   → DTP
5)集客、SNS連携 → 営業
6)広告      → 営業
7)アクセス解析  → 編集者、経営

WEB サイト制作にかかわる人たちが「大変だ」という原因はつまり、丸ごとやんなきゃいけないからだ。紙媒体では、営業と編集、さらに編集は編集者、デザイナー、イラストレーター、カメラマン、ライター、校正者が分業していた業務を、サイト担当者はどれもこなさなきゃいけない。大きな会社なら複数でうまくすれば分業できるのだろうけれど。

よくわからんのが WEB デザイナーという語。紙媒体でいえば、DTP とデザインと編集が混じっていて、必ずしも紙でいうデザインだけを意味しない。紙の編集だけとってみたって、いろんなスキルが求められるのに、WEB はさらに多いのだと思うと、そりゃ大変だよ、当たり前だよ!と思う。

いずれにしても、新しい業界だから語が安定していないんだろうな。外来語に使われるカタカナを使った職名が多いのも、それを象徴しているな、と思うのでした。

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