フリーランス仕事にどこで線を引いているか問題。

senrigan

フリーランスになってわかったことだけれど、この仕事は実にいろいろな角度から依頼が来る。内容は、以前にもやったことがあるものから、なんの経験もないものまでさまざまだ。「やったことがないから」と断っていたら仕事は無くなるし、かといって「じゃ、全部やります」と全部引き受けていたらクビが回らなくなる。やはり、どこかで線を引かなければならない。その時に、大切なのはどんなふうに線を引くか。これが案外難しい。

このところ、あれやこれやと各方面からご依頼をいただいている。といっても「わ、オモシロそう!」と引き受けたものもあれば、条件交渉をしてあっさりダメになった案件もある。自分なりの整理も兼ねて、これまで自分がどういう選択をしていたのか、まとめてみる。

 

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まず、これまでいただいた仕事を通じて、3 つのポイントで自分が線引きしていることに気づいた。人、興味、条件。優先度もこの順番。それぞれに整理してみる。

ポイント 1:この人と仕事してみたい、と思えること。

昔、勤め先の人事部長に質問したことがある。「採用の際の決め手はなんですか」と。彼の答えは「一緒に仕事する姿を想像して、やっていけそうだなと思うかどうか」だった。その答えに妙に納得して以来、自分が仕事や仕事相手を選ぶ際の一つの指針にしている。フリーランスになってからは特に、この指針が仕事の有り様を大きく左右すると感じるようになった。

どんな仕事も、一人ではできない。必ず自分ではない誰かの力が必要になる。にもかかわらず、相手の「こんなもんでしょ」と見下げた気持ちが見えることがある。そんな相手からの依頼を引き受けて(なんだかなあ)という思いを抱えながら仕事をするくらいなら、いっそやらないほうがいい。

ポイント 2:この仕事はオモシロそうだな、と思えること。

冒頭にも書いたけれど、これまでやったことのない依頼をいただくことが多い。いや、多いというか、いまお引き受けしている仕事はどれも、日本ではやったことのないものばかりだ。機内誌の編集、翻訳校正、ガイドブックの取材同行通訳、WEB サイト制作、そして書籍翻訳。ほとんど人からの紹介で、「やってみない?」と声がかかった。第一印象で(わ、オモシロそう!)と思ったものは引き受けている。

おもしろいと思うポイントは「どんな世界なのか知りたい」というシンプルな動機、好奇心だ。知らないこと、わからないこと、そういう世界にどうも惹かれるらしい。

ポイント 3:条件が折り合うかどうか。

第一印象で躊躇する案件がある。オモシロさを感じるところがない、というものもあるけれど、提示された条件に躊躇することが多い。

もちろん、相手にも予算があるからあまり無理は言えないのだけれど、かといって自分が無理ばかりしているようでは続かない。依頼の中には時折「その金額、自分で引き受ける?」と依頼者に問い返したい条件さえある。そんな時は、具体的な明細をつけて条件交渉する。

例えば、原稿書きや編集作業という実はいたって手間のかかることを、残念ながらとても軽く見られている場合。誰にでもできるように見えるが、原稿を書くのも、編集作業にも、校正作業にも、翻訳にも、それなりに経験が必要だ。ないところから作り出し、読みにくく文のねじれた原稿をすっきりと読みやすくし、文字や使用法の間違いを見つけ、別の言語にする--これはどれも特殊な経験の積み重ねで磨かれていく特殊なスキルだ。交渉は、うまくいくこともあれば、ポシャることもあって、一概にどうと言えないけれど、少なくともやるだけはやっておきたい。

編集も翻訳も原稿も、無形とまではいわないが、いたって見えにくい形の商品だ。人、好奇心、条件というポイントを基準にしながら、スキルという商品の値段を、相手の言い値にするか、それとも自分で自分のスキルという商品価値を決めるか。難しいところだが、いずれにしても、フリーランスの自分を守るのは自分しかいない。それを肝に銘じておかねば、と思うんである。

 

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