マカオ旅行で考えたこと

macau学期途中のある週末、友人の住むマカオへ向かった。どこか日本の香りがする台湾から、同じ中華圏なのに欧州が漂うマカオへの移動。世界遺産を案内してもらい、マカオタワーから埋立地を眺め、カジノを横目にチャイナマネーのお話は、すこぶるオモロいものだった。

世界遺産の目抜き通りは、外観は古くてめっちゃいい味出してるんだけれど、中に入っている店は海外資本のブランドが並ぶ。カジノのあるホテルの建物 3 つすべてを歩いてみた。高級ブランド店ばかりで各ホテルの違いは、初旅行者のわたしにはよくわからなかった。巨大なハリボテ(失礼!)はすでにいくつもある。それでもなおかつ、マカオでは新しい埋立地にまた新しいカジノの建設が進んでいる。

マカオの不動産バブルはまるで 1980~90 年代の日本のよう。日本円に換算して中古マンションでさえ 1 戸 1 億。だから普通の人が家なんて買えるわけがない。買うのは投資家、そして中国大陸。「これがハジけたらどうなるんだろうって思う」と友人が言った。きっと日本と同じことが起きる、そう思った。

マカオには第一次産業がなく食料自給率は 0 %だそう。スーパーには海外からの輸入品がずらり。カジノや F1 のマカオグランプリは観光で生き抜くことを決めたマカオの、生存戦略なのだろう。ただこれ、人間の欲を知り抜いた話で、すごく理に適っている。カジノ内も入って見学したけど中国大陸からの旅行者ばかりだった。誰がどうしてカジノを思いついて実行したのか。それが気になった。

マカオのカジノ成功を見た韓国やシンガポールが、実際にカジノ建設に踏み切った。そういえば日本でもカジノ建設の話が浮上していたっけ。台湾の馬祖にもカジノ建設の計画があるそうだけれど、それもなんだか頷ける。ただ、台湾の場合はマカオやシンガポールのようには行かないだろうなあ。第一、中国が許すんだろうか。

マカオでは、公立か私立かにかかわらず高校まで教育費無料医療費(薬価代含む)もタダだそう。所得税は 3%。時にはゼロになることもあるそうな。これから消費税が 10 %になろうかという日本人にしたらなんと羨ましき話かと思ったが、一方で幼稚園から漢字教育も英語の授業も始まる。道徳や常識(という科目がある)の教科書は英語で書かれていた。海外との付き合い必須だとそうなるよね。さらに、観光の専門学校ではディーラー養成の部門もあるんだとか。羨んでばかりもいられない。マカオは必死なんだ。翻って日本を見ろ、と思うことしきりだった。

閑話休題。

すでに国内でもいくつか変化が起きているけれど、海外の大学では数年前から日本語科の存亡が危ぶまれていると聞く。マカオでも学習者が減ったそう。さらに、友人のいる韓国でも日本語学科自体がなくなったと聞いた。欧州でも同様だという。

グローバリゼーションで、ヒト・モノ・カネの移動が激しくなり、日本経済の弱体化が叫ばれている。アベノミクスの効果を 1 ミリも感じられずに日本を発ったけれど、すでに経済で日本へヒトを呼ぶ力はない。日本語を学ぶメリットがまるで見えないからだ。勉強しても稼ぐことすら難しいんじゃ、誰も勉強なんてしなくなる。

昔は隆盛を誇っていた中国韓国の日本語学習者が一挙に減り、今やベトナムやミャンマーからの日本語学習者が増えていることの意味、日本語教育が置かれている文脈をきちんと読んだ上で、手を打つ必要があるんじゃないか。いつまでも、日本語教育はいつも入管や政府に振り回されている、日本語教師は食えない、って嘆くだけじゃだめだ。ゆっくり、じわじわと、衰退が押し寄せているような感覚がわき起こった。

じゃ、何ができるんだろう。…たとえば。別の外国語教育に教師育成に関するスキルを売る。語学教育ではなくて、語学教師教育の販売。子どもが減ってる国内の育成だけじゃ早晩、みんなが食えなくなる。そうでなくても、養成は経営が厳しくなっているし、大学院の乱立でポストなんて当分空きそうにない。…なーんてことにまで考えが及んでしまいました。ふう。

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