台灣媳婦がダンナとケンカする理由

douzi台灣媳婦とは、台湾人に嫁いだ女性を意味する中国語だ。台湾でできた友人たちには、この台灣媳婦が多い。といっても、わたしがもちろん一番の新参者で、あとはたいてい十年選手。彼女たちの結婚当時の苦労などを聞いていると、制度が緩和されて手続きが少し楽になっているようだ。あれこれと話しながら、媳婦全員に共通して起こったけんかがあることがわかった。

原因は言語ハブ。ダンナやその家族、あるいは友達たちと一緒にいる時、全員が台湾語なり中国語なりを使用し、媳婦だけが取り残される。誰一人、フォローしない。だから媳婦は周囲が何を言っているのかわからないまま、短くない時間を過ごすことになる。ダンナさえフォローしないこの状況は、正直、かなりキツい。

 

スポンサーリンク


 

「あなたまで台湾語で話したら、何を言われているか知る方法がなくなる。その状況で、周りがわたしを見て笑う。その時の気持ち、わかる?」

ぶち切れて、大泣きしながらそう強く訴えたことがある。大哥は台北生まれで、家庭、友人、仕事仲間、ほとんどが台湾語によるコミュニケーションが基本だ。日本語はできない。だから、二人のコミュニケーションは中国語を使う。大哥と付き合うようになってすぐ、彼に連れられて仕事仲間にわたしを紹介するという名目の宴席に向かった。初めてのことで、緊張しながら。

10 人ほどが集まっただろうか。食事をいただきながら、おしゃべりはどんどん進む。お酒が入って、いい気分になったのだろう。全員がどーっと台湾語を使い始めた。それまでは中国語で少しは話の流れがつかめていたのに、突然、その蜘蛛の糸がぷつんと断ち切られたようだった。その上、こちらを見て何か言っている。笑いながら。問われても何を聞かれているのかわからない。恐怖だった。

 

スポンサーリンク


 

帰ってから、友人たちにちゃんと紹介できたとご機嫌な彼に、積もった怒りをぶちまけた。彼は最初、わたしが何を言っているのかわからない様子だった。それほど無意識のコードスイッチング(言語の切り替え)だったのだ、とわかった。後に、これが理由のケンカを何度か繰り返していくことで、少し理解するようになったようだ。

台灣媳婦は皆、この手の洗礼を受け、ダンナと大げんかをしていた。話を聞いて驚くのは、台湾側の誰もがどうやら共通して無意識だ、ということ。それほど「言葉をわからない人がいる」ということに、頓着しない。知っていても気を遣わない。わたしにはそのことのほうが驚きだった。

その後、大哥の飲み仲間には、この一件がいつの間にかシェアされていて、台湾語を使ってる!と気づいた人が「講國語〜!(中国語で話せよ)」と注意喚起してくれるようになった。大哥も中国語で話すよう、気をつけるようになった。また、こちらも少しずつ、流せるようになってきた。

ただ今でもなぜ皆、無頓着なのかよくわからない。台湾と日本の言語環境の違いがそうさせているのだろうとは思うのだけれど。もう一つ加えると、この件は、暮らしのいろいろな場面に絡む。だから結構、しんどい。ま、それも自分が選んだことに含まれるのだから、これからゆっくり付き合い方を考えることにした。
 

 

スポンサーリンク


 

Post Navigation