翻訳校正の仕事で気づくこと

shu先月から、翻訳された日本語の校正をする、という仕事を始めた。これは定期のお仕事で、1日のうち午後だけ、というアルバイターである。フリーランスといっても、定期収入の途は必要で、今のところここのお仕事でいただく額がいちばん多い。あとは、原稿書きと案件ごとの編集が現在の収入の柱となっている。翻訳される内容は基本的に実務翻訳と呼ばれる範疇のもの。仕事のプロセスは、一つ一つを確認していく、という作業が主で、その点は編集とさほど変わらない。ただ、ちょっと角度が違っている部分があるので、かえっていろいろと気づくことが多い。仕事を始めて2か月ほど経過したこの間の気づきをまとめておこう。

 

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日本語力

伝えるという手段を採る以上、どんな仕事にもかかわることだけれど、改めて実感したのは、日本語力が翻訳の品質に大きくかかわる、ということだ。この「日本語力」という言い方はほわっとしているので、わたしなりに置き換えると「TPO に応じて切り替えられる選択肢の多さ」かもしれない。どんな文脈で、どんな相手に、どんな語を選ぶか。また、その選ぶためのストックをどれほど持っているか。選択肢が多いほど、原稿の質はぐっとあがる。ま、これ、翻訳に限らず、どんな原稿でもあてはまるけれどもね。

社会人経験

社会人としての経験が、原稿を読む際に大きく役立っている。たとえば、ビジネスメール、仕事用の言い回し、あるいは会社で経験した人事考課や社内文書……なんだか面倒だなあと思っていたけれども、経験はすべて積み重なっているのだ、ということに気づかされた。昔、「日本語教師って仕事は、どんな経験も生かせる仕事だよ」と言われてなるほどなあと思っていたけれど、もしかしたら翻訳家もそうかもしれない。言語を軸にすると、選択肢はいろんなふうに広がるってことなんだろうか。

文脈と背景知識

大きな気づきだったのは、翻訳には文脈と背景知識が大きくかかわる、ということだ。単に文章だけを渡されてよくわからないなあと思っていた内容が、その文章の前にどんなストーリーがあり、どんなお客さんで、どんな相手に向けた文章なのかを知った瞬間、ぶわっと言いたいことが見えてくる。文脈や背景知識無しに訳す、という作業自体、もしかしたら無いのかもしれない。だって、プレゼン資料だって、履歴書だって、どこかに相手がいる内容だものね。

言葉はそれが向かう相手や事柄無しにはあり得ない。それが本という形になろうが、ネットで発信されるものであろうが、実務文書だろうが、同じだ。だから、翻訳の際は選択肢を多く持っておいたほうがいいし、繰り出せるカードは多いほうがいい。問題なのは、適切なカードを繰り出すことができるか。また、いろんな文章を読みながら、世の中が見えてくるような気がしている。実務翻訳の世界も、またオモシロいなあと思うこのごろだ。

 

 

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