ベテラン中国語教師のスゴ腕。

school今日は台湾で受けた中国語の授業と、先生について紹介しておこう。わたしが通っていたのは、台湾大学文学院語文中心。実は日本で台湾の中国語教育現場として知られるのは台湾師範大学だ。だが、わたしが通う場所として選んだのは台湾大学だった。ちなみに使われている教科書は同じもの。

理由はいくつかあるのだが、第一にクラスサイズが小さいこと。師範大学では定員 12 人だが、台湾大学は 6 人。少人数だから、1 時間あたりの練習量は単純にいって倍になる。もう一つは学習者が多国籍であること。いろいろな国や地域から来る場所だ、ということに興味があった。学費は師範大学より高いけれど、クラスサイズと経営のバランスから成り立つのだから仕方がない、と納得した。

 

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さて、授業である。前もって断っておくが、大きな軸は変わらないけれど、先生によってもレベルによっても進め方は違う。ここでご紹介するのは、最初の学期に受けた初級後半レベルの授業のとある先生の話。授業の流れは大まかにいって、次のような流れだった。

単語の意味確認

文型説明

練習

会話文の聞き取り+内容確認

練習はペアやグループで行うことが多く、相手は先生の指示でランダムに変更される。週 5 日のうち聞き取りの小テストが数回、課ごとにテストがある。最初の頃の宿題は、漢字の書き取り、作文、教科書付属の別冊が軸だったが、後半は書き取りが無くなり、報告と呼ばれるプレゼンが加わった。

凄腕先生が配布するプリントは 3、4 種類。教科書にはない文型説明の詳細が書かれた用紙、その課で出てきた単語とそれを使った例文が一緒になった宿題プリント、会話練習に使う質問の一覧などに大別される。ある時は、教科書シリーズ全体で出てくる形容詞が一覧になったプリントももらった。試験前に復習しながら、改めてその量に驚いた。作るの、大変だよ。提出したプリントや宿題は即日もしくは翌日に返却され、赤字で補足説明が加えられている。だから、赤字のないプリントはなかった。

ある時、別のクラスの友達にプリントを見せると「え、こんなにもらえるの!? いいなあ。たくさん練習できるってことじゃん」と言われた。そのクラスのテスト形式はほぼ四択だった。うちは下線だけの自由記入だ。どちらのほうが力がつくかは歴然だ。

コレ、なんていうか、毎日が先生との100本ノック先日紹介した例文の話は、つまりこういう中で(え? 変じゃない?)って例文が出てくるとわたしはつまずくんだよね、ってことなのだけれど、教科書以外の例文が大量にあるのって、有り難い。単語だけでは文の中の位置関係が今一つよくつかめない。文のほうが記憶にも残りやすい。

この、最初の学期の先生の場合は、授業での活動のやり方はかなり練られていた。単語の意味確認の流れなんて秀逸だ。まずペアごとにカード(フォント拡大した教科書体の単語がラミネート加工されている。全部!)を複数枚渡され、相手に見せずに説明して、クラスメイトたちに当てさせる練習から始まる。それが終わるとクラス全体でペア対決させながら内容を共有し、板書を元に重要な動詞とそのバリエの説明、類義語や用法の注意点などを補足していく。ゲーム感覚をもつことで、こちら側は自然と持てる知識を駆使させられる。

一貫して感じるのは、先生の説明はクリアだということ。何しろ、しっかりと違いが際立つような説明をする。実はこれ、相当のキャリアが必要なことだ。こちら側から飛ばす質問は、何しろランダム。不意打ちの連続。なのに淀むことがない。おまけに説明しながら、「これは第 13 課で出てきます」などとさらりと言う。教科書の全体が見えていないと、この一言は付け加えられない。文法説明も、学生の他愛もない話をそのまま導入につなげたことがあった。内心(どっひゃー! やるぅ!)だった。

ペア練習している時も、しっかり机間巡視して、さりげなく「さっき言ったこと、もう一度言ってみて」とオモシロい文やしっかりした文を全体で共有する。聖徳太子か!ってくらいちゃんと聞いてる。おしゃべりはさらっと止めに入るし、うまくいってないペアの横についてサポートもする。こういうのができるのって、6 人クラスだってのもあるだろう。

最初に受けた先生は、字がきれいなのも高得点だった。トメハネハライを疎かにせず早く正確に板書していく。しかも流して書かない。さらに何しろ使われるのは繁体字。画数が多く、非漢字圏にとっては点の位置や角度は理解に直結する重要な要素だ。

そして何よりすごいと思うのは、イヤそうな顔を見たことがない、ということだった。なんだか楽しそうなんだもの。いやとにかく、スゴい先生だった。

ところで、台湾大学で採用されていたクラス担任制はメリットデメリット両方併せもつ。いい先生に当たればとてつもなくラッキーだが、外れると(失礼!)その学期のモチベーションを左右するくらいダメージを受けるのだ。外れたことがあったのかなかったのか……この話はまたいずれ。

 

 

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