台湾ドキュメンタリー映画《進撃之路》を観る。

《進撃之路》(蘇哲賢監督)は、台湾で人権弁護士として知られる 4 人の弁護士を追ったドキュメンタリー映画だ。ひょんなことから、劇場初公開のお誘いがあって観ることになった。ちなみに写真はその初公開を記念して開かれたメディア向け記者発表の様子だ。

映画の主軸になるのはここ最近大きな話題を呼んだ 4 つの事案で、台湾ではよく知られているものばかりだそう。

事案 1)工場が突然、経営破綻し、経営者が海外へ逃亡。長年働いていた工員たちは退職金も受け取れないまま放り出された。
事案 2)兵役の期間満了を目前に控えた兵士が、高温下での訓練を強要され、熱中症で死亡したにもかかわらず「事故死」として扱われ、遺族が軍の過失を訴えた。
事案 3)2002 年に起きた殺人事件では証拠に重大な瑕疵があるまま死刑判決を受け、被告が無罪を訴えていた。
事案 4)2014 年 3 月、中国とのサービス貿易協定に反対した大勢の学生たちが立法院を占拠した、ひまわり学生運動のリーダーが起訴された。

これらに共通するのは、人権を守る闘いと位置づけられている点だ。映画は、4 人の弁護士に、こうした事案に向き合う理由を問いながら、事案の概要、闘いの様子、関係者をはじめとした周囲の人たちの声や彼らの暮らしぶりなどが映し出されていく。

日本と台湾では法律のありようも、政治体制も大きく違う。もっというと社会的な矛盾に対する民度のようなものが。そう痛感したのが、本作でも登場する 2014 年 3 月のひまわり学生運動だ。社会や政治が違うと思えば、それを問いただす人たちがいる。その問いにきちんと呼応することが社会や政治の責任、という土壌が台湾にはある。もちろん、日本にもそういった弁護士さんはいる。ふと思い出したのは、中坊公平さんと宇都宮健児さんだった。

大勢の人が暮らす場所で、誰もが正しいとされる行いができるわけではない。そのことは映画に登場する弁護士さんたちもわかっていた。それでもなお「台湾が民主社会を名乗るなら、その方向に向かおうとしなくちゃいけない」と奮闘する。ひたむきな姿を観ながら「人権ってなんだ?」「法律ってなんだ?」という根本的な問いを向けられた気がした。

法律があれば、制度があれば、権利も同時に守られるわけではない。そうした制度や社会的な枠組みがあってさえも、問題は起きるものだし、時に巻き込まれることもある。台湾に限った話ではない。台湾で人権派とされる弁護士さんたちは、その時、いったいどういう態度で向き合ったのか。背筋をピンと伸ばしたくなる作品だった。

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