勝手に自分プロジェクト、始める

150719

告白する。完全に「『ナリワイをつくる』を読む」の後遺症が続いている。というのも、あれから(こういうの、できないかなあ)(これを始めたらオモシロいかなあ)などと、頭の中が実に忙しい。ついに一つ、自分でプロジェクトを始めることにした。それは、義母に台湾料理を習うこと。

手前味噌にしか聞こえないだろうけれど、義母のつくる台湾料理はひと味違う。紅燒肉(豚肉の唐揚げ)、肉粽(ちまき)、苦瓜排骨湯(ニガウリと豚骨のスープ)、蕃茄蛋(トマトと卵の炒め物)など、手の込んだものからシンプルだけどコツの要るものまで、バリエーションもさまざま、かつ絶品。

 

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結婚した当初、わたしは台湾風の薄い味付けに慣れておらず、その凄さがよくわかっていなかった。けれども、たとえば義母が「来週は蚵仔麵線(牡蠣と大腸の入った台湾式煮麺)をつくるから」というと、聞きつけた友達がわざわざ食べにやってきたり、ちまきを作る中にやっぱり友達の数がカウントされていたり、(おやや?)と思っていた。美味しくないと、こんなことは絶対に起こり得ない。

決定的だったのは、取材同行の仕事で台北の老舗の油飯(台湾風おこわ)をいただいた時のこと。ひと口食べてわかった。完全に義母に軍配があった。いや、そのお店が美味しくないわけではない。ただ、わたしには義母の味の方が美味しいと思う、という話だ。

さて週末、いつものように実家に行くと義母が言う。「今日は九層塔蛋(台湾バジルの卵炒め)を作るからね。まだ食べたことないでしょ?」。九層塔とは、日本で手に入るバジルによく似た、でももう少しクセのある香りの香草のこと。台北の有名店でもさまざまな料理に入れられ、特に炒め物で見かけることが多い。実はその数日前、市場で買い込み、見よう見まねで炒め物に入れてみたのだけど全くもってヒドイ味で、どうしたものかと思っていたアレである。すぐさま「お義母さん、作るの、横で見ててもいいですか」と言ったら「いいわよー」と言う。

そのやりとりを聞いていた大哥の兄弟たちが口々に言った。「あんなの、すんごい簡単だよ。見なくたって作れるさ」。これまで一度たりとも台所に立った姿を見たことのない兄弟たちの言に、思わず言い返してしまった。「あのね、作ったことないくせにできるとか言うなんて本当に失礼だよ。口だけでできるって、できるうちに入らないの!」

このあと、料理を見に行ったわたしのいない隙に、大哥は兄弟たちにわたしが強い口調で言い返した理由を説明したのだそう。「で、なんて言ってたの?」「いや、何も。黙って聞いてた」。中国語がもっともっと達者だったら、ぐうの音も出ないくらいの説教をしたところだ。実は大哥も以前「お母さんの料理は簡単だ」と言っていて、わたしに大目玉をくらったことがある。呆れるくらいに気づいていないのだ。お義母さんの料理をいただける贅沢さに。

おいしい料理には、手間ひまと圧倒的な場数が必要だ。ましてやここは台湾。日本にはない材料や調理器具をどんなタイミングでどんなふうに使うのか、調味料は何をどのくらい、どのタイミングで入れるのか、もう、その奥の深さを考えたらシビれる。案の定、義母が作りながら言っていた。「九層塔蛋はね、雞蛋(ニワトリの卵)じゃなくて鵝蛋(ガチョウの卵)を使うの。そうすると、香りがいいのよ」。すげー! ガチョウの卵を売ってることすら知らんかったし!

その日のメインはブタの口の煮込み。出来上がった料理に皆のハシが伸びるその瞬間、義母が「これ、ココが美味しいんだから。ほら、食べなさい」と真っ先に取り分けてくれた。

……てなわけで、決定。毎週、義母の横でその料理を学ぶ。これは「勝手に自分プロジェクト」としてやったる!のだ。

 

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