辞書は文字に関わるフリーランスのチームメイトだ。

150721

ライター、編集者、校正者、そして翻訳者にも共通することがある。それは仕事に不可欠な道具の一つが辞書だ、ということ。とりわけフリーランスの場合は「チーム自分」のチームメイトみたいなもの。このところの翻訳と翻訳校正の仕事で、連日、ネット、紙の辞書、電子辞書と各メディアを駆使しながら原稿を作成、または確定している。

そうして辞書との会話の往復を繰り返していくうちに、やっぱり紙がいいなあと王政復古が沸き起こり、手元の収録語のバリエーションの少なさにも若干の心許なさを持つようになり、さらにはそれまで使ったことのない類いのツールの必要性を感じ、思い切って新しく辞書を買い込んだ。日本の友人から届けてもらった荷物を開いて「援軍来る!」とウキウキした。

なお、中国語の辞書に関してご興味のある方は、以前中国語学習者向けに繁体字の辞書を紹介した記事も、あわせてどうぞ。

では、今回届いたわがチームの援軍をご紹介しよう。

 

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中国語類義語辞典(朝日出版社)ー表現を確かなものに。

今年 5 月に出たばかりの新刊だ。残念ながら大手日系書店のどちらにもなく、日本から届けてもらった。帯には「30年の歳月と40名のスタッフと500を超える項目」「中国語 疑問の半ばは 似たもの語」と語呂のよいキャッチコピーが踊る。

収録語は一見、(あれ?結構基本的なものが多い?)と思いがちだが、実は基礎基本とされる語ほどバリエーションに富むため、どう使い分けるかを整理する作業が必要になる。それらの語も丁寧に使い分けが紹介されている。中級以上ならきっと、腑に落ちることが多々あるだろう、読む辞書だ。今はともかく疑問を持つと開くようにしている。

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中日大辭典 第三版(大修館書店)ー違う角度の目線を持つ

2010 年に改訂版が出された。親字数は 14,000 で、それまで使っていた『新時代中日辞典』(大新書局、三省堂の『CROWN』が元データ)より多く、『中日辞典 第 2 版』(小学館)とは互角。こうやって違う出版社の中日辞典を選んだのは、編者の語感が取り上げる語の違いや解釈の違いにつながるため。手元の中日辞典はこれで 3 冊となった。

実際、この辞典の素晴らしさは、収録語数の多さだけではない。親字が簡体字・繁体字併記であること、表 4 の見返しには拼音と注音の対照表が見開きの一覧表になっていること、拼音の並びだがその最初には注音も表記されていること。拼音で中国語を学習してきた身にも注音が確認できる仕掛けがあるのはなんともうれしい。なお、この注音表記は、同辞典のデータが入っている電子辞書には反映されていないそう。これは紙ならではの情報といえそうだ。

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類語辞典(講談社)ー自分にない表現を求めて

中国語の辞書ではない。日本語の辞書だ。翻訳者の表現のバリエーションが少ないために、翻訳した原稿が読みづらい、ということは往々にしてあることだ。そもそも翻訳文は翻訳者ができる表現以上の表現にならない。自分の表現にこだわっていては、よい翻訳文にはならぬ。以前「翻訳校正の仕事で気づくこと」で書いたことだが、実際にやってみるまで翻訳には対象言語の知識もさることながら、日本語の高度な表現力が求められるなんて、思ってもみないことだった。類義語を考えることは、表現の豊かさを下支えすること。自分にない表現を辞書という形で補うのは、やっぱり必要なことだ、と考えるに至った。

かくしてネットの評価や台北にある日系書店で実物を見比べ、この本を求めた。実際、コンパクトで何より目的とする語へたどり着きやすい。ほかの表現や関連語なども一見でき、今後も重宝しそうだ。

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以上、3 冊紹介してみた。ネットでの検索ももちろん駆使しているが、今回紙の辞書にしてよかった、と思っている。特に語学学習の場合、目的地にしか行けない検索だけではなく、周囲の景色を楽しめる紙の方が地味だけれど自分の語彙を豊かにすることに、ゆっくりとつながると信じている。

また、フリーランスの仕事では、自分のチーム編成を自分でどうにでもできる。モニターや辞書を買い込んだのは、やっぱりこれらが仕事上、不可欠だと感じてのこと。よいチーム編成は効率を上げ、品質をも上げる……と思いたい。

 

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