台湾に語学留学も含めた奨学金制度があることを、何度でも言う理由。

150924

このところなんだかやけに忙しく、てんてこ舞いのスケジュール。サイトもこの 2 週間ほど更新できずにいた。ただ、過去に書いた記事のストックで、サイトの PV はさほど落ちることなく推移している。おかげさまで来月、開設 1 年を迎えるこのサイトでは、よく読まれている記事はある程度決まってきている。中でもこの台湾留学に利用したい奨学金の話は、抜群の PV を稼ぐ代表格の 1 本だ。

先日、仕事で仕事でいろいろあってひどく落ち込んでいたある夜、1 通のメールが届いた。件名には「記事を読ませていただいての感想」とある。サイトの CONTACT 経由で届いたメールだった。開くと、こんなふうに書かれていた。ご本人からご了解をいただいたので、全文そのままご紹介しよう。

こんにちは。
今日、台湾の語学留学の奨学金について
調べていたら、ここにたどり着いて、
記事を読ませていただきました。

私は、今18歳で高校を卒業して、ひとりで
台湾に中国語を勉強しに来たのですが、
語学留学の奨学金を全く知らず、自費で来て
来学期、お金が足りず帰国しなくては
ならないかなと悩んでいたところでした。

この記事を読んで、もしかして
自分にも奨学金を受け取るチャンスがあるのかも
しれないと思え、希望が見えてきました。

この情報のおかげでもっと奨学金のことを調べてみようと
思いました。
ありがとうございました。

この方のいう「記事」は、冒頭に述べた奨学金に関する投稿のことである。いただいたメールを読みながら、なんだか心が震えた。顔なんてもちろん見えないけれど、心底、がんばれー!!!と叫びたくなった。夜中だったから堪えたけど。

つい先日も Twitter で、奨学金とローンの違いについてのやりとりを見かけたが、何度でも言っておく。返さなきゃいけない金とはつまり、借金のことだ。住宅ローンも教育ローンも、ローンというていのいいカタカナにされているだけで、借金は借金だ。カタカナに騙されちゃいけない。台湾で働く友人の一人は30手前に今なお、教育ローンの返済を続けている。わたしの以前の同僚もそう。奨学金とは、学業を奨励する資金のはずが、奨励された結果、利子付きで返済をせねばならんのは、本当の奨学金とは言えないのではないか。だから何度でも言おう。

台湾には、語学留学も含めた返還無用の奨学金制度がある。

グローバルのこの時代に、日本で大きな借金を背負ってまでしなきゃいけない勉強ってなんなんだろう、と思う。保育園から入るのが難しく、認可外だと有料で月額数万単位でかかるという。いつだったか産休から復帰したばかりの友人が「なんのために働いているのかわからなくなる」と嘆いていた。小学校にあがったらあがったで、お迎えの時間が早まり、親のフルタイム勤務はままならない。優秀な中堅の先輩同僚が、子どもが小学校にあがるから、と退職していったこともある。かくいうわたしも、推薦入試で合格した大学以外、結局受験しなかったのは、受験料さえ大きな負担だったからだ。

子どもを育てるのがずーっと大変だなんて、社会としてどこか歪んでいないか。

台湾は出産から違う。坐月子という助産施設では、産後の数か月、生まれたばかりの子どもとの付き合い方を教わり、母体を整えてから自宅に戻るという。子どもを産んだ後の女性の体が大変だってことをわかっていているからこそ、だろう。街中ではベビーカーを持った人や小さな子どもを連れた親に、周囲がすっと手を差し伸べ、座っていた席を変わる。台湾の大学の学費は、日本との物価格差を差し引いてもなお割安だ。働きながら夜学に通う社会人の姿もごく普通に見聞きする。

まあ、とはいえ台湾も少子化が進んでいるというから、少子化は仕組みだけの問題ではないのだろうけれど。ただ、人を育てること、人が学ぶことの価値を、社会が支えている。仕組みからも、人の何気ない行動からもそう感じる。

新しいことを学びたいというのは、人の基本的な欲求で、誰でもが持っているもの。それを多様な方向に育てていってこそ、豊かな人が暮らす社会になる。だけど、その育て方として、日本のように個人の力量や家族の経済力に依存する、なんとも窮屈な仕組みには疑問を感じる。たまたま生まれついた家に経済力がなければ、知的好奇心はそのまま閉ざされてしまうことになるからだ。人の可能性って、そんなふうにして閉じられていいわけがない。

奨学金は学んでいくことの手段の一つに過ぎない。だが、その手段さえ、上乗せまでした見返りをせまられるなんて、学ぶことに苦痛しか感じられないんじゃないか。学ぶことはワクワクと心踊る行為なのではなかったか。返済や経済的負担から少しでも自由になり、日本だけでなく気軽にいろんなことを学んでほしい。だから、繰り返し言う。

台湾には、語学留学も含めた返還無用の奨学金制度がある。

わたしは台湾のことを紹介しているけれど、学費がかからない仕組みをもった場所は、世界にもっともっとあるはずだ。このメールをくださった方が、もう一度台湾に戻ってきて勉強が続けられるよう、応援していたい。そして、別の社会には違った仕組みもあることを、人生の選択肢は一つではないことを、もっといろいろな人が知る機会になるといいな、と思うんである。

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