わたなべぽん著『やめてみた。』に学ぶ暮らしに向き合う姿勢

台湾に来て 3 年。海外留学→結婚という人生の大きな大きな転換をし、実のところ毎日の生活に慣れていくのに必死だった。ゆっくりゆっくり、だけれど、新しい家族と話し合いを重ねながら毎日のサイクルができ、周囲の方のご好意で仕事もいただくようになった。

そうして、何かと忙しい日々を送るうちに。食事はお惣菜ばかりになり、合わせてもれなく体重も増え、家事全般から間遠になっていた。

楽ちんといえばそうなのだけれど、この暮らし方は自分に合っていないんじゃないか。だけどそれは、海外にいるからとか、中国語中心だからとか、結婚が向いてないとか、そういう意味ではない。単に、生活スタイルがなんだか居心地が悪いのだ。

そんな時に、わたなべぽんさんの描いた『やめてみた。』に出会った。

本書は 3 章立てのコミックで「家の中から、やめてみた」「身の回りのもので、やめてみた」「心の中も、やめてみた」と大きなくくりに分かれている。家の中でいえば、炊飯器、テレビ、身の回りでいえばファンデーション、コンビニ買い、心の中でいえば、人間関係、口ぐせなどなど。どれも「あるある!」と共感できる項目ばかり。やめようと思うに至った経緯が丁寧に描かれ、やめたことで暮らしの様子が心地よいものになっていく様子がよくわかる。

あとがきには、こんなコメントがある。

このところ「ダイエット」「片付け」そして「やめてみる」といった自分自身と向き合う内容の本を描いてきましたが その度に できることが増えたり心が楽になったりと 私自身や生活そのものが変わってきて暮らしやすくなってきた気がします(本書あとがきより)

本書はサラッと読めてしまうので、軽々と進んだような錯覚に陥りそうだけれど、実のところそうそう簡単な話ではない。そもそも「やめる」という行動は、単にモノがなくなれば済む話ではないからだ。「やめる」はその瞬間だけを意味するわけではなく、A から B へと変化し、その B を継続していく意味を含む。

そして、自分の暮らしを形づくっていた個々の習慣と向き合い、新たな暮らしへと変化させていく。一般的にいわれる暮らしの形ではなく、自分の暮らしを自分で組み立てていく。本書はその楽しさを伝えている。

改めて我が身を振り返る。なんだか居心地が悪いのは、そこに〝自分〟がいないからだと気づいた。持ち帰りの料理は自分の作ったものではないし、掃除されていない部屋も自分の好きな空間ではないし、洗ってないお皿の置かれた台所だってイヤなのだ。

…ということで、暮らしを立て直すことにした。自分の暮らしを心地よくするのはほかの誰でもなく自分なのだから。

「自分にとって本当に必要なものとはなんだろう?と考えて見るきっかけにでもしてもらえたらもっとうれしいです」(本書はじめにより)

 

やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方

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