【張媽の台湾ごはん】破布子蒸肉(イヌジシャ入り蒸しハンバーグ)

台湾で毎日のように料理するようになり、義母の料理を見よう見まねで作っていくうちに、自分の料理に変わったことがいくつかある。調味料でいえば、台湾っぽいものを使うようになったこと。調理器具でいえば、電子レンジではなく電気鍋を使うようになったこと。調理法でいえば「蒸す」が増えたこと。所変われば品も法も変わるって具合だ。

電子レンジと電気鍋のことは以前にも書いたことがあるけれど(こちら)、御多分に洩れずわが家ではお弁当もご飯も肉まんも、あらゆる温めに電気鍋を使う。電子レンジでは失敗しがちな肉まんも、電気鍋なら水分が含まれるのでふんわりとおいしくなる。

台湾に来て自分の調理法に「蒸す」が正式に加わったのは、この電気鍋があってこそ。日本で考えていた蒸し料理は面倒なことこの上なく、大きな鍋に湯を沸かして、せいろを重ね、ふきんを敷き、フタして…想像するだにややこしく、作る気になれなかった。でも電気鍋があればコップ1杯の水を加えてボタンをぽちりと押すだけ。手間なし簡単!

さて、今回紹介するのは、義母である張媽がよく作る蒸し料理の一つ〝破布子蒸肉〟だ。いわばハンバーグの種を蒸した料理で、電気鍋を使って手軽にできるひと品。

「破布子」とはイヌジシャという低木の木の実のこと。一般には、この木の実を醤油ベースの煮汁で煮込んだものが瓶に入って売られている。台湾の人たちの書いた自家製レシピを見ると、「蔭油」と呼ばれる黒豆製の醤油に氷砂糖やショウガを入れていて、なるほど、甘じょっぱいのはそういうわけだ。6月のちょうどこの時期にまん丸の実がなるのだそう。台湾では台南や嘉義など、南部で比較的多く生産されており、近年では台湾東部での栽培が増えているとか(参考:認識植物)。

ものの本には、虫に食われていて完全な葉が1枚もないから「破れた布」という有り難くない名がついた、とある。ひどい言われようだけれど、肉でも魚でも、蒸し料理にはこの実が脇役として必ずといっていいほど登場し、いい仕事をするのだから外見で判断しちゃいけない。

一度だけ、瓶入りでない破布子を南勢角の市場で見かけたことがある。なぜまあるくなっているのかわからないけれど、手作りの姿になんとも心惹かれた。一帯は東南アジア系の移民が多く、通りを歩いていても、それらしき文字が目に飛び込んでくる。破布子は台湾だけでなく、日本では沖縄、中国福建から東南アジアあたりまで採れるそうなので、つまり亜熱帯性の植物だろう。

蒸すという選択肢からレパートリーになかったこともあって、ひき肉というと炒め物もしくは餃子の種にすることが多かった。タネをまとめた後は、こねたり丸めたり焼いたりといった手間がない。油も少なくて済むのに、ちゃーんとボリューミー。この調理法を知ってからというもの(めっちゃ簡単〜!)とすっかりハンバーグを作らなくなってしまった。

ハンバーグに疲れている方、油の量を減らしたい方、電気鍋のレパートリーを増やしたい方、ぜひお試しくださいませ。

材料(作りやすい分量)
-ひき肉 300〜400g ※深めのお皿に8分目が目安。
-ショウガ 大きめの一片。みじん切りにしておく。
-オイスターソース 大さじ1
-紹興酒 大さじ2
-干し椎茸の戻し汁 大さじ1
-砂糖 大さじ1
-破布子 お玉にひとすくいほど。

作り方
言ってしまえば、ハンバーグを作る要領でタネを作り、器に入れて蒸すだけ。

1 ボウルにひき肉、ショウガ、オイスターソース、紹興酒、戻し汁、砂糖を加える。

 

2 調味料を揉み込み、全体に行き渡ったところで、破布子を加えて、さらに混ぜる。

3 深めの皿に2を入れて整える、とこんな感じ↓

4 電気鍋にセットし、スイッチを押す。水はカップ4分の3ほど。
5 スイッチが上がったら、竹串をさして、赤い肉汁が出なければ完成。

日本で作るならこうアレンジ
・通常のハンバーグのタネに入れるもので作ってもおいしい。
・オリーブの実、ワインで代用し、蒸し上がってからソースで味付けでも。

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