日本人旅行者に言いたかったこと。

sky台北では2月に入ってから少しずつ年末年始のムードが漂い始めている。こちらのお正月は旧暦で祝うからだ。日本の年末年始には、台北のあちこちで普段にも増してガイドブックを手にした旅行者を見かけた。遠くからでも向こうを歩いているのは日本人だとわかるようになってきた。日本語が聞こえてくると、振り向いてしまいそうになるのだけれど、ぐっと堪える。以前の自分はこんなふうだったのかと思いながら。日本人旅行者を見かけるたびに、実は今でも、(あのとき、どうしてきちんと言えなかったのだろう)と後悔していることがある。

それは MRT の車内だった。帰宅ラッシュのピーク少し前で車内は適度に混んでいた。別の駅から乗り込んできた二人連れの日本人男性は、きちんとスーツを着たサラリーマン。手にしていたのはスーツケースだったから、商談か何かの帰りだったのだろう。おもむろに日本語で話しだしたから、聞くとも無しに彼らの会話が耳に飛び込んできた。

「電車の中で後ろに立つならやっぱりブスより美人のほうがいいですよね」
「ハハハ」
「どうせ痴漢に間違えられるなら、美人のほうがいい」
「そうそう。痴漢の心理って、なんとなくわかるよな」
「ああ。男なら……」

彼らが続けたのは、聞くに耐えない話だった。公共の場にあって自分の真後ろで交わされる会話に、反吐が出そうだった。彼らはきっと、ここは海外だから日本語で話したってどうせ誰もわかりゃしない程度に考えていたのだろう。

旅人にとっては一過性の場かもしれない。だが、その旅先にだって、同じように日常が広がり、同じように感情を持った人が暮らしている。旅の恥はかき捨てとは古の人たちが勇気を持つようにと鼓舞するために言ったことばで、公の倫理まで捨てろとは言っているのではない。そんなもの、捨てられるほうはたまったものではない。お得意の包装にきちんとくるんでお持ち帰りいただきたい。

後悔しているのは、なぜくるりと振り向いて注意できなかったのか、ということ。「そんな下品な話、公共の場でしないほうがいいですよ。めっちゃカッコ悪いから」とどうして日本語で言えなかったのか。そんな自分を恥じた。

海外旅行に、台湾旅行に来る皆さん。周りには、日本語のわかる人がたくさんいるんです。口にしようとしているそれ、日本では言わないことなら、旅先でもやめてくださいね。

 

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